黄昏の百合の骨

2007年1月16日 読書
ISBN:4062123320 単行本 恩田 陸 講談社 ¥1,785

一昨日読了。
最近恩田陸の本を読んでいる。
自分にとってのブームのようなもので、過去にも宮部みゆきばかり、村上春樹、乃南アサばかり、というような現代作家ブームがあった。
といっても、現代作家を読み出したのは大学からで、高校までの私は古典ばかり読んでいた。軽い物は『風とともに去りぬ』くらいかも知れない。

恩田陸の話は、ミステリと、ホラーの風味と、恋愛と、打算、心理劇、そんな要素が混交していると言える。
冒頭には情報が少なく、しかし思わせぶりに何かを匂わせるような文章が続く。

高校生の理瀬は、イギリスから単身日本に帰国する。
そうして、私立高校に編入し、幼少のころ自分が育てられた亡き祖母の家「白百合荘」で、血のつながっていない二人のおばとともに生活を始める。
その祖母の死は、不慮の事故とされていたが、理瀬はおばに疑いを抱いている。

そして、祖母が隠していた「ジュピター」なるものの探り合いが、理瀬の二人の兄、そして友人も交え、新たな事件へとつながっていく。お互い、相手の心を読もう、読まれまいとする内面の動きが、場面を替え、ときには外面しか表現されずに描かれる。
私は最後まで二人のおばのうち、姉の方が怖かった。

恩田陸の描く少女は大抵魅力的である。
これが内面の老成から来るものだけで、外見の素晴らしさがミックスされていなかったとしたら、理瀬の魅力は半減するのだろうか。

途中までの話は結構面白かったのに、こういう感想を抱くあたり、私は相当天邪鬼なのだろう。

ちなみに、「理瀬=高校生」の言葉遊びみたいな感じは好きだけれど、
女子だからリセじゃないよなあと思ったりした。

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